○理性院大師堂

 長崎県島原市の大師通りにあります。
 初代の広田言証師は明治年間に、シベリアや東南アジアからインドへ托鉢(たくはつ)巡礼の旅に出たが、行く先々にいるからゆきさんたちを集めては施餓鬼(せがき)を営みました。からゆきさんたちはお布施を包みました。その浄財をもとに造られたのが、玉垣と天如塔です。
 玉垣には献金したからゆきさんの名前、ところ、金額が彫られ、その文字にあざやかな朱色が施されています。ロシアからインドまでの間の様々な地名があります。また、嬪夫(ぴんぷ・娼館に関係する男)の名も少なからずあります。この玉垣に囲まれて建つ、八角形をしたふしぎな形の天如塔は、高台にあるためかつては遠くからでも臨め、一種の名所になっていたといいます。現在の住職信証師は「維持管理が大変で」と言っておられました。
 ここは、からゆきさんの魂が異国の各地から戻ってきたところ、といってよいのかも知れません。

玉垣に並ぶからゆきさんの名
イポー(マレーシア)の日本人墓地での
言証師による施餓鬼


口之津町歴史民族資料館のからゆきさんコーナー

 長崎県の島原半島の突端、天草を臨むところにあります。その昔は、この港からもたくさんのからゆきさんが密航で国を出ていきました。その様子を描いた絵がかかっていたり、帰国できたからゆきさんから提供のあった衣類やトランク、写真類などが展示してあります。案内のビデオはなかなか手の込んだ力作です。
 からゆきさんの資料を並べてあるのは、おそらく全国でもここだけだと思われます。となりの売店には数年前から、からゆき手拭やからゆきせんべいを売っております。

全国でただひとつと思われる、からゆきさんの資料

○宮本研記念公園

 熊本県の、天草は大矢野町の柳港の近くにあります。この地に生まれ育った宮本研は、からゆきさんを見聞きした体験をもとに、戯曲『からゆきさん』を書きました。現在でもしばしば上演される作品になっています。平成2年には西田敏行が、その所属する青年座と共に全国公演しました。
 海辺に沿って細長くつくられた公園からは、彼の言う"明るい海"が一望のもとに見渡せます。
 
公園に建つ宮本研の文学碑